相続&贈与
年末は贈与を考えるにはベストシーズン!キーワードは、”年末年始の2度にわけての贈与”です。
では、具体的にケース別にご紹介しましょう。
最小限の税負担で多額の贈与のケーススタディ!
今年末と来年初にまたがって贈与すれば、非課税枠(1人あたり110万円)のダブル適用で、1週間程度で子や孫にまとまった額(非課税枠内なら最高220万円)を贈与できます。つぎの2つをご紹介しましょう。
ケース1 最低税率の範囲で、子や孫に現金を贈与したいケース
ケース2 子や孫に、年末510万円を特例贈与(注)で贈与するケース
● ケース1 最低税率で、多額の現金贈与
最高55%の贈与税を、最小の税負担(贈与税率10%)で最大の贈与を実現するもので、現金620万円の贈与も「贈与税40万円(本来、88万円)」で済ませる手法です。
具体的には、年末年始に子や孫1人あたり310万円、計2回分620万円を贈与して、子や孫に手取り580万円もの財産移転を実現します。仮に子2人と孫4人の6人への贈与なら、単純な暦年贈与で総額3,720万円(手取り3,480万円)を”短期間”に”最低限の税負担”で移せ、相続税の節税効果につながります。これを数回繰り返せば手取り1億円強が移転ができ、一般的には相続対策も完了に。
● ケース2 特例贈与で、多額の現金贈与
多額の預金や国債などのほかに、賃貸不動産や会社を所有されている資産家で、相続税の税率が30%(相続人1人あたり5,000万円超の財産)なら、お勧めの大型の贈与手法です。
具体的には、ケース1同様、年末年始に子や孫1人あたり710万円計1,420万円を180万円の贈与税負担で、手取り1,240万円を移転させるというもの。仮に一度に1,420万円を贈与すれば、通常の贈与税は414.5万円で、手取りは1千万円程度に減少してしまうのです。
ちなみに、上記同様子・孫6人にこの贈与を行えば、年末年始で8,520万円の贈与(贈与税1,080万円、税負担率12.7%)が完了し、3回繰り返せれば2億5,000万円強もの金融資産の移転が完了します。もちろん、相続税の限界税率よりも負担は低く、おトクです。
(注) 特例贈与:直系尊属(両親や祖父母)から20歳以上の子や孫への贈与が対象で、年300万円超の贈与部分の税負担が軽くなる制度です。
年末年始の短期間に多額の財産移転ができ、贈与側にとっても面倒な書類準備や送金処理などを短期間で済ませられ、一石二鳥です。こうした贈与・相続対策のご相談は、感動相続!事務局までお気軽に!
”こころも一緒に贈与”がキー!
贈与する側には「贈与資金を将来のために有効に活かしてほしい」との想い、それとは相反する「車を買って事故でも起こしては…」という心配も当然のこと。そうしたお悩みのない、「”換金しにくい使いみち”付き」のプレゼントも一法です。
● 生命保険を活用する!
「契約者:子、被保険者:親、受取人:子」の生命保険に加入し、贈与資金の多くを保険料(年払)に充て、子が贈与資金を使えぬようにする手法です。
相続発生時には、子が受領する保険金は相続財産でなく、税負担が軽減される子の一時所得として所得税申告し、手取資金は将来の結婚資金、自宅購入資金、相続税納税資金などで自由に活用いただけます。
● 贈与資金は安定投資へ!
子や孫自身の名義で証券会社に口座開設し、贈与資金を安定的な資産形成のため、国債などの確定利回りものを中心に運用を図ります。投資先は長期保有に向く運用を心がけましょう。
なお、18歳になるまで払い出し制限のあったジュニアNISAは2023(令和5)年末で新規の口座開設は終了し、2024(令和6)年1月1日以後は18歳未満でも非課税で引き出し可能に。
落とし穴は贈与のやり方と贈与後の管理!
お手軽に見える現金贈与でも、お金の渡し方、贈与契約書の作成、贈与後のお金の管理、通帳や印鑑の管理など、注意すべき点がたくさんあります。
また今回紹介の”暦年贈与”以外にも、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与など、贈与税の特例制度がいくつかあります。とはいえ、制度内容が少しずつ異なるため、贈与者の健康状態や受贈者の年齢などに応じて選択する制度が異なる点にも注意が必要です。