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相続&贈与

節税には不向き!?でも利用価値ありの相続時精算課税~その2~

2020年11月4日

 今号では、相続時精算課税活用時のポイント”贈与すべき財産や制度利用のデメリット”をご紹介します。

”相続時精算課税”は、贈与する財産がキーに!

 この制度のメリットと贈与すると効果的な財産をみてみましょう。
◆ 一度に多額の贈与ができる!
 相続時精算課税なら、特別控除額(2,500万円)までは贈与税なしにまとめて多額の贈与ができます。また、特別控除額を超えても贈与税は一律20%で済み、一般的な贈与と比べて大きな魅力に。つまり、大型の資産移転をスムーズに進めるには有効な手法といえましょう。
 例えばつぎのように、暦贈与で一度に2,500万円を贈与すると、贈与税は810万円強にも上ります。そのため、相続発生時には相続時精算課税を使った贈与額も相続財産に取り込んで相続税を計算しなければならないとはいえ、贈与時点では大した負担とならず、ついつい利用したくなるようです。

◆ どういった財産を贈与すると効果的?
● 贈与は収益物件が最適で、相続税対策にも!
 アパート・マンション、店舗などのような、安定した賃料収入の見込める収益物件の贈与では極めて効果が高くなります。
★ 贈与者:贈与後は受贈者の財産となり、贈与財産が減るうえ自分の財産(=賃料の純収益分)は将来的に増えないため、相続税の節税効果につながります。
★ 受贈者:生前の財産分与が受けられたうえ、毎年、純賃料収入も得られ、贈与者の将来の相続時の相続税納税資金準備ができます。
● 値上がりが期待できる財産も余地あり!
 相続時精算課税制度を使った贈与財産は、相続時に”贈与時の価額”を相続財産に取り込めばよいため、将来、贈与財産が値上がり確実なら、価値が増えた分は課税されず、オトクといえます。
 とはいえ、財産が将来値上がりすることを予測するのは難しく、また、値下がりでもしようものなら元も子もありませんので、ご注意を。

意外と多い!?”相続時精算課税制度”のデメリット!

 相続時精算課税制度のデメリットを4つご紹介しましょう。併せて、アドバイスもご参考に!
● 2,500万円超の贈与は、贈与税の申告と納税が!
 一度相続時精算課税制度を利用すると、その後同じ受贈者への贈与では”暦年贈与”は使えません。
たとえば、暦年贈与の基礎控除額内の100万円を贈与しても、この贈与分は相続時精算課税制度利用の贈与の上乗せ分として、申告のうえ贈与税を20万円(税率20%)納めなければなりません!
 もらった金融資産(預金、上場株式など)相続までに使い切ってしまっても、相続時には相続財産に贈与額を含めて相続税を計算となるため、納税で苦しまぬよう無駄遣いは禁物です。
● 「小規模宅地の特例」や「物納」の対象外に!
 「小規模宅地の8割減などの特例」や「物納」は、相続で取得した財産でしか使えません。つまり、この制度を選択して贈与を受けていると、その贈与額は相続財産でなく贈与財産となるため、こうした相続税上の恩典は使えません。
【ワンポイントアドバイス】
 当たり前のように聞こえますが、相続時に「小規模宅地の評価減の特例」を受けたい土地などは、”相続時精算課税”では贈与しないのが鉄則です。
● 孫への贈与もOK! でも、税負担が大きい!?
 20歳以上の孫への贈与でも、この制度が使えます。とはいえ、孫は法定相続人ではないので、祖父母の相続時には相続税額が2割増しになってしまうことをお忘れなく。
【ワンポイントアドバイス】
 相続税の2割増しは避けられませんが、祖父母との間で養子縁組をしておけば、相続税の基礎控除の人数(法定相続人)にも加えられ、相続人一人あたりの相続財産も少なくなるため、相続税率も下がり、相続税の節税につながります。

”利用価値”に着目して贈与しよう!

 ”相続時精算課税制度”は、贈与時には税負担を軽くして相続税を先送りするもので、贈与時と相続時の税負担を合計しての節税対策としては大きな効果は得にくいといえます。
 ただし、持ち戻しリスク(注)を考慮した上で、まだまだお元気なうちに早期(相続開始前10年以上前)に次世代へ引き継がれることを前提とすれば、つぎのようなケースで活用価値があるのでは。
 ● 同族会社(中小企業)のオーナーの自社株対策
 ● 特定の財産を、特定の相続人に揉めずに引き継がせる対策
 ● 遺留分侵害額請求対策としての活用など
 (注)持ち戻しリスク:相続開始前10年間に贈与した財産は遺留分の算定財産に組み込まれるリスク。

 この制度の利用にあたっては、贈与者や受贈者の置かれた状況、贈与財産の種類や将来価値の予測など、さまざまな制約や条件に配慮のうえ、慎重な対応が求められます。
 こうしたリスクなどから、この制度の選択にあたっては、相続問題(⇒相続税の申告ではありません)に詳しい専門家に相談されるようお勧めします。

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