相続&贈与
大増税へと舵を切った相続税は、子世代に大きな負担を残すため、切実な問題となってきました。相続対策の必要性を感じていても、親に面と向かって相続の話はしづらいもの。そんな時、リタイヤ後の夢の生活スタイルなど”近い将来”の話題をきっかけにすれば話がはずみそうです。
家族みんなで”財産情報の共有化”を!
子どもは、親とのコミュニケーションはとりづらいと感じがち。とはいえ、シルバーライフをエンジョイできるのも親の健康あっての話。子が親の将来を気にかけて、親の心配事や悩み事を一緒に考える姿勢をみせれば、スムースなコミュニケーションがとれるものです。気にかけて差し上げるべきはつぎのような点にあります。
● 夢の実現に向けて!
ご長寿ニッポンでは、親の健康寿命(健康で、自立できる期間)も長くなります。当然、親御さんもシルバーライフで「こんな生活をしたい、夢を実現させたい」といった想いをお持ちです。
親の夢を聴いて、子どもたちも(気持ちだけでも)共感やサポートする姿勢が相互理解を早めます。
● 先々の介護の分担も
長寿化とはいえ、やがて自立できなくなる時期~介護・寝たきりや日常生活のサポートが必要になる時期~がやってきます。そうなった時には、・誰(家族、第三者のプロ)に、・どのような方法(自宅、施設など)でサポートにあたってもらいたいのか、・資金負担の余地の有無などをさりげなく聞いておくことも欠かせません。
● シルバーライフ資金の手当て
夢の実現費用はもちろんですが、予想される介護にも費用負担は生じます。資金負担余地(=親だけでなく、子も)も検討しておきましょう。さらに、(ご本人に強い抵抗感がなければ)配偶者や子どもたちへの財産分与や相続対策への考え方などのヒアリングも大切です。なかでも、財産に目が行きがちですが、親御さんの家族への想いや生き方を伺うことはもっとも大切なポイントになります。
ついでに、子どもたちの親への希望や意見も伝えられるようなら、家族の理解と共にシルバーライフを過ごせて、実り多きものとなりそうです。
”争続”の発端は介護にあり!
相続で揉める大きな要因に、親の介護に端を発したトラブルがあげられます。献身的に介護をしてきた子ども(その配偶者)が「その分、財産を多くもらっても当然・・・」と考えるのは人情としては理解できますが、介護をしなかった子どもが必ずしもそれに同意するとは限りません。
介護をしなかった子どもにも何らかの言い分~・物理的に介護ができなかった、・他の方法で応援した、・長男は生前にたくさん贈与を受けていたなど~の言い分があるものです。どちらが正しいとも言い切れませんが、上述のように親の想いを受け止め、家族間での事前の話し合いなどを通じて、意識の共有化が図れれば防げることも多いのではないでしょうか。
相続は、行き当たりばったりでは”争続”になりがちです。
相続対策も親御さんの幸せなシルバーライフを踏まえたものでないと、節税対策だけに重点が置かれて、本当に必要な対策を見誤ってしまう結果になりかねません。今年の夏休み(お盆)に向けて、ぎこちなくても親御さんの将来への心遣いをされてはいかがでしょうか。