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相続&贈与

他の相続人が相続税を納付しないと、我が身も危うし!?

2018年3月7日

 遺言などがないまま相続を迎えると、相続人同士で遺された財産を誰が引き継ぐかの遺産分割協議をして、期限内に相続税の申告も、納税も済ませねばなりません。それでも、これでひと安心とはいきません。
 実は、申告を一緒にしたはずの他の相続人が相続税を納めていないケースが。そんなときには、税務署から「他の相続人の相続税を払うように」という通知が送られてきます。狐に摘まれたようなワケのわからない展開ですが、実は相続人には他の相続人の相続税も納付する義務があるのです。
 今号では、この驚きの義務についてご紹介しましょう。

突然降りかかる”連帯納付義務”という火の粉!

 相続税法には”連帯納付義務”があり、被相続人(亡くなった方)から相続で財産をもらった相続人全員がお互いに連帯して相続税を納付する義務を負わせています。銀行などからの借入金の連帯保証に似ていますね。
◆ 相続税に利息まで負担させられる、やっかいな制度

 「他の相続人が期限内に相続税を納めなかった」なら、その相続人の相続税ばかりか、利子税(利息)の支払義務まで付いてくることに。また、これらの相続税や利子税を納付する際は物納や延納は認められませんので、最悪の場合、財産の差押えリスクもあり、大変やっかいな制度といえます。

◆ 財産をもらったのに、どうして相続税が納められない!?
 素朴な疑問として、相続税のざっと2倍以上の財産を相続しているはずなのに、相続税が納められないのはなぜでしょうか?
 つぎのようなケースが考えられそうです。
● 多額の借金を抱えているケース
 相続財産をすぐに処分し、借金返済に充ててしまい、相続税の納税資金がなくなった場合です。このケースで”連帯納付義務”を負わせられることが最も多く、問題となっています。兄弟でも信用できませんね。
● 相続財産が換金できにくい財産ばかりのケース
 立地条件の悪い土地・建物、借地権のある貸地などの不動産や自社株など、すぐに換金できない財産を多く相続したケースです。もちろん、本人が申告時に延納の許可や物納をしていれば”連帯納付義務”は避けられますが、なにもしていなければ他の相続人に”連帯納付義務”が生じてしまうことに。

● 遺産分割協議が整わないケース
 相続人間で遺産分割協議がまとまらず、納付期限を過ぎてしまうようなケースでも、”連帯納付義務”が付いて回ることに。
 また、相続税での恩典(特例措置)は「遺産分割協議の成立を前提」としており、仲違いして納付期限までに分割協議が整わないとつぎのような問題が起こり、相続人全員が不利益を被ります。
 ★ 相続税が増えるリスク!
  配偶者の税額軽減や小規模宅地の評価減(8割減)の特例などが受けられず、相続税が増える結果に。
 ★ 相続財産の売却や預金引出しがも困難に!
  未分割のまま相続争いが続けば、他に多額の財産がない限りは納付できない状況に陥ります。
  他の相続人に”連帯納付義務”が生じることになります。

”連帯納付義務”から逃れるためには?

 つぎのようなケースでは、”連帯納付義務”が解除されます。
● 申告期限から5年を経過し、税務署から通知(連帯納付義務)をまだ受けていないケース
● 相続税の納税の猶予を受けているケース
● 延納の許可を受けているケース
 しかし、これらは具体的な対策といえるものではありません。

 相続人が他の相続人の相続税を負担させられぬようにするには、相続税の申告と一緒に「全員の相続税を、相続人代表者がまとめて預金から納付する」形が最も安心できる方法です。また、借金漬けの相続人がいれば、自分では納付させずに、相続財産から相続人代表が納付する方法を採らない限り不安は解消できません。
 
 そこで大切なことは、相続税は自分の分だけ納めれば”ハイ!終り”ではなく、他の相続人の経済状況にも目を配り、分割する財産を組替えるとか、代償分割の活用など、相続人皆で円滑な相続を心がけることが最も大切になります。また、節税対策には長けている専門家でも、そこまで配慮して相続のアドバイスをする専門家は少ないようです。親御さんが健在な間に、相続人間のトラブルを防げるような対策を講じておくことこそが、財産を遺す親の責務と考えておきたいものです。

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