相続&贈与
9人に1人が利用した「住宅取得資金の贈与」
不動産流通経営協会の調査(注)によれば、2015年度の住宅購入者の5人に1人は「親からの贈与」で資金を調達したと回答しています。住宅取得資金の贈与制度は3種類ありますが、中でも「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」は住宅購入者の11.3%つまり9人に1人が利用しました。
(注)不動産流通経営協会が、首都圏1都3県で実施した「2015年度不動産流通業に関する消費者動向調査」結果(有効回答数1083世帯)より
◆ 住宅取得等資金の贈与税の非課税制度とは?
つぎの条件に合えば、非課税限度額*までは贈与税がかからずに贈与できます。
● 対象となる人 20歳以上の人(合計所得2千万円以下)
● 贈与する人 父母、祖父母
● 対象となる住宅の床面積の条件 50㎡以上240㎡以下
● 受贈資金の使い途 新築、取得、増改築等のため
なお、非課税限度額は住宅の購入時期や住宅の性能によって異なります。詳しくは下記を参照ください。
もし相続時精算課税制度(贈与時2,500万円まで非課税となる制度(注))とセットで使えば、今年だと省エネ住宅なら3,700万円まで(消費税が8%に据え置かれたケース)贈与税負担なく資金支援ができるため、子どもの住宅取得資金の応援で、利用する方(親など)も多いようです。
(注)贈与時には課税されませんが、相続発生時には相続財産に加えて相続税を計算する仕組みです。
メリットは、限度額までは贈与税がかからず、相続時精算課税でも相続税がかからない見込みの方なら、利用しない手はありません。
◆ 若い世代で利用割合が高め!
利用した割合が高いのは「29歳以下」で29.5%、ついで「30~39歳以下」が15.8%と続きます。若い世代ほど生前贈与のおかげで、住宅取得が容易になっている様子がうかがえます。
制度利用の効果としては、当然ながら「借入金額を少なくできた」が61.6%で1位。「住宅を購入できた」(43.4%)「住宅の購入時期を早めた」(14.1%)と続きます。
贈与した親が65歳未満の世帯割合は、新築住宅購入者で42.9%、既存住宅購入者で38.5%。親世代は自分たちがマイホームローンで苦労してきたせいか、子どもが若いうちに住宅取得を応援しているようです。
実は、他にも親が応援する方法が…
◆ 余裕があれば、住宅は親が建ててしまう!
資金援助でなく”現物支援”という手でも有効です。具体的には、親が建物をたてて親名義で保有し、子ども一家は無償で住む方法です。家賃やローン負担なく家計を管理でき、早い段階から資産形成のスタートを切れます。加えて、建物は時間とともに価値が下がるため、親の相続財産節減効果も生じ、ダブルメリットに。
特に「相続時精算課税制度」で2,500万円を贈与するよりは、ずっと相続税が節約できるはず!
◆ 住宅ローン返済を支援する
現金贈与して子どものローン返済を助けるというやり方も。本人の資産形成資金なり、ローン返済資金なりに充てさせることができ有効です。
ただし現金贈与にはちょっとしたテクニックが必要。詳しくは下記を参照ください。
http://www.43navi.com/column/detailhappy2.html?n=2286
◆ 資金を貸付ける
贈与では甘えさせえるだけだと、子どもへ資金を貸す方も見受けられますが、やり方には注意が必要。
詳しくは「親から借りた住宅資金、贈与とみなされるリスクが!」を参照ください。
http://www.43navi.com/column/detailhappy2.html?n=2376