相続&贈与
来年1月から相続税が大増税と騒がれています。増税の最大のポイントは”基礎控除額の縮小”で、この影響で相続税の申告者数が倍増するといわれています。そんな話を聞くと、「自分の相続税はどうなる」のか気にかかるものです。実際、相続財産の総額が基礎控除額以下であれば相続税はかかりませんし、申告も必要ありません。ところが、相続財産や税額の計算で様々な特例を適用した結果、相続税が0円となったケースでも申告は必要ないのでしょうか?答えは・・・。
小規模宅地の評価減など特例適用は、申告が要件に!
つぎの2つの特例の適用を受けるケースでは、相続税がゼロであっても相続税の申告書を提出して、「この特例を適用しました。」という意志表示をしなければ認められません。ついつい、税負担が生じなければ申告など必要ないと考えがちですが、特例は自らその特例を選択したことを税務署に申告を通じて伝えることが前提のため、特例適用を受ける旨の努力をしない人には適用しないこととされているのです。
実にポピュラーな特例ですので、簡潔にご案内しましょう。
◆ 小規模宅地等の特例
相続財産の中に被相続人の居住用や事業用に使われていた宅地等がある場合、その宅地等の評価額から一定割合(80%、50%)を減額するという特例です。
◆ 配偶者の税額軽減
被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際にもらった遺産額が、「つぎのいずれか多い金額まで配偶者に相続税がかからない」特例です。
● 1億6千万円
● 配偶者の法定相続分相当額(相続人が妻と子なら、法定相続分は1/2)
これらの特例はほとんどの方が適用を受ける特例のため、無申告にならぬよう留意することが大切なのです。加えて、相続税の申告期限までに”遺産分割されていること”が特例適用の最初にクリアすべきハードルですので、相続争いにかまけていると相続人全員が損をしかねません。
専門家に相談するのが”一番!”
ご自分で相続税をかじった方だと陥りやすいのが、配偶者の税額軽減を例にとると、「1億6千万円までは相続税がかからないのだから、遺産が1億円だが申告しなくてもよいはずだ」というもの。もちろんこのケースでは無申告になり、後日の調査でわかってしまえば、相続税に加えて無申告加算税などまで追徴される羽目に。もちろん、税務調査ではかなりいやな思いもすることになります。
相続財産の評価や相続税の計算ではさまざまな特例、複雑な計算を駆使して相続税の計算を行います。相続税の申告の必要性や財産の評価などは、安易にご自身で判断せず、被相続人の想いや家族関係にも配慮できる相続に強い税理士に相談されることをお勧めします。