相続&贈与
■ 海外居住の子への贈与は贈与税がかからないという神話は?
日本でもかつては「海外に住んでいる子(非居住者)に外国の財産を贈与すれば無税!」でしたが、現在ではかなり厳しく改正されました。「海外に住んでいる」と言っても、留学や数年の海外勤務の最中なのか、海外へ移住してもう日本に戻ってこないのか、など状況はイロイロです。
贈与税でキーとなるのものが、●もらう側(子)の国籍と、●親子の過去5年以内の日本での住所の有無です。
◆ すべての財産の贈与が、日本の贈与税の対象になるケース
つぎのケースでは、国内財産・海外財産を問わず、贈与すると贈与税の対象となります。
1.子は日本に住んでいる
2.子は海外に住んでいるが、日本国籍あり+贈与者(=親など)と受贈者(=子)のいずれかが、
贈与前5年以内に日本に住所あり
◆ 国内財産の贈与だけが、贈与税の対象になるケース
3.子は海外に居住で、日本国籍あり+親子とも5年以内に日本に住所なし
4.子は海外に住み、日本国籍なし
たとえば、海外ファンドの満期償還金を海外で受け取って、そのまま留学中の子どもの銀行口座へ送金しても、贈与税の対象です。
つまり、日本の贈与税がかからないのは、日本国籍のない子へ海外資産を贈与したときだけということに…。日本の贈与税から逃げるには、家族で海外移住するしかありません。
■ 海外での財産贈与にも気をつけなければならない点が・・・
ただし、海外に行ったからといって税金が逃げられるとは限りません。
海外にある財産を海外に住んでいる人がもらうと、その国の税制の対象となる可能性があることにも注意が必要です。シンガポール、オーストラリアなど贈与税がない国もありますが、贈与税がある国もあります。ちなみに日本の贈与税はもらった側が贈与税を負担しますが、アメリカではその逆で、贈与者が贈与税を負担する仕組みです。
やはり、「税金から逃げるより、税制を上手に活用する方がよさそう」ですね。
★生前贈与対策などでお困りのことは、気軽に事務局までお問い合わせください。