充実ライフ!
平均寿命は延び、ついに「人生100年」と言われるまでに。当然、セカンドライフも長期化し、老後資金は2千万円では賄えそうもなく、老後破産や高齢者の貧困が社会問題として浮上中です。実は、”老後破産には無縁!”にみえた経済的に安定しているシニア世代が、”子や孫のためにとった行動”で「経済的破たん」に陥るケースが生じています。今回は、”破たんの原因とそうならないための心構え”などをご紹介しましょう。
甘く見ていると、不足する”老後資金”
● ”じいじ”と”ばあば”の長生きリスク!?
日本人の平均寿命(2018年)は、男性81.25歳、女性87.32歳で、65歳でリタイヤなら「男性16年、女性22年のシルバーライフ」に。この間、生活水準を維持しながらの暮らしには多額の老後資金が必要です!
● 忘れちゃいけない大きな出費!
自宅をお持ちなら、”補修・修繕費用やバリアフリー化の改修費用など”がかさみ、自立できなくなれば”介護施設の入居一時金やその後の維持費用”、貯蓄の取り崩しなどが必要な多額の出費が待ち受けています。
● ”老後は慎ましく”と考えていても!?
高齢化の進展で高齢者対象のサービスも充実してきましたが、サービスを受ければ受けるほど”自己負担”という名の出費もかさむばかりです。
今後は年金収入をアテにできるとは限らず、健康保険や介護費用などの負担も増える一方。こうしたことからも、老後資金は多いに越したことはなく、充実したシルバーライフを過ごすにも「将来、必要となる資金」の把握は欠かせません。
決して太くない、自分のスネ!
親世代はキャッシュリッチで、資産の世代間移転を目的に子や孫への贈与を”一定額まで非課税の大型贈与制度”が導入されました。多額の退職金などで潤う定年世代は子や孫の喜ぶ顔見たさでつい贈与しがちですが、あとで取り返しのつかない羽目に!冷静にご自分のスネの太さを考えてみましょう。
● 住宅取得資金の贈与
子や孫にマイホームの購入資金を贈与する場合に、一定額まで「贈与税が非課税」とされる制度です。消費税増税の関連で2021年12月まで延長され、新築住宅などの非課税限度額(下表)も拡充されました。
● 教育資金の一括贈与
30歳未満の子や孫の教育資金に充てるために1人あたり1,500万円までの贈与は、「贈与税を非課税」とする制度です。この一括贈与は2021年3月まで適用でき、使いみちは入学金や授業料などに加えて”通学費用や留学の渡航費用など”まで拡充されています。
● 結婚・子育て資金の一括贈与
20歳から49歳までの子や孫の結婚・出産・子育てを後押しをする目的で始まった制度で、一人あたり1,000万円(結婚費用は300万円)までの贈与が「非課税」に。その使いみちは、結婚式・披露宴の費用や出産費用・産後ケア費用、保育料などまで幅広く含まれます。
贈与はコツコツ、愛情を贈るのがベスト!
◆ 毎年110万円までの、非課税枠を有効活用!
元々「子や孫の入学金、学費などの教育費用や出産費、保育費などの子育て費用など」はその都度贈与したからといって、贈与税はかかりません。それに、贈与の都度、子や孫の喜ぶ顔が見られます。これに加えて”暦年贈与”を使えば、年110万円までの贈与なら現金をあげても「贈与税は非課税」です。これなら、懐具合と相談しながら、子や孫に無理なく良い顔ができますね。
◆ 大切なのは”こころの贈与”!
贈与は何のためにするのでしょう?実は、お金を与えることが目的ではなく、”可愛い子や孫の将来を想う愛情の表現”として「お金を添える」のではないでしょうか。
子や孫にも、贈与の意味合いを理解できる年齢になったり、働いて自活することの大変さがわかる時期はやってきます。ありがたみが理解でき、お金が必要な時(結婚、出産、マイホーム購入)に初めて現金化できるような、お金以外のものでの贈与なら「愛情=こころ」をプレゼントすることになりますね。
高額になりがちな非課税の大型贈与は、シルバーライフに必要な資金に十分余裕を持たせた上で、されますようオススメします。